烹菓は1983年、西武百貨店の大津店内に誕生します。
その当時の西武百貨店では、全国どこに行っても、同じメーカーのクッキーしか置いていませんでした。
そんな中、もっと地方色を出した、美味しいクッキーを販売できないか、ということが検討されていました。
そして、この人ならということで、百貨店側から、白羽の矢が立ったのが、吉井薫子さんです。薫子さんは、フランスに留学し、お菓子作りを勉強された後、その当時、西武百貨店でケーキ教室を開いていおられました。
薫子さんは、西武百貨店の全面バックアップのもと、大津店内に手作りクッキーとケーキのお店『烹菓』を出店することになるのです。
その後、薫子さんは、1986年に現在の場所、京都市上京区河原町荒神口にお店を移します。当初は、ちょっとした喫茶席のあったお店も、徐々にお客様が増え、現在は、喫茶席はなくなり、完全なクッキーとケーキの専門店として、京都の人々に愛されています。
また、7年前からは、ドイツでワイン作りを勉強されていた、息子の隆さんもお店に入り、その経験とワイン作りで鍛えられた舌を活かして、烹菓の商品を作っておられます。
本物の味がいつでも気軽に購入できるように…
烹菓は、そんな思いから生まれました。
飾りは、できるだけ控え、常に最高の材料を求め、添加物・香料も一切使用せず、素材本来の味を大切にした商品作りをされています。
それは、薫子さんがお店を始められた当初からの思いで、現在、主に商品作りを担当される息子の隆さんにも、しっかりと受け継がれています。
隆さんは、「私は、商売が下手なのです。」と、私に話してくれました。
それは、中途半端な商品を無添加とうたい、宣伝文句だけを誇張し、上手に販売するお店が多くの利益を上げている中、本当に頑固なまでに素材や製法にこだわるがゆえのこと。
商品作りに対するその姿勢は、本当に真っ直ぐで、どこまでも品質にだわる職人そのもの。
それが、証拠に、通常TV番組でお店が紹介されても、内容があまりにも誇大で、その直後は、売上が上がっても熱が冷めると、売上が元通りというお店が多くあります。
しかし、烹菓は、2004年に関西テレビのある番組で紹介された後、現在まで順調に売上を伸ばしています。
現在も様々な雑誌で取り上げられ、京都で美味しい焼き菓子のお店は?というと『烹菓』の名前を上げる方がとても多いのです。 |