例年にない夏の異常な暑さが少し和らいだ9月12日、NPO無施肥無農薬栽培調査研究会主催の水田見学会に行ってきました。この水田見学会は、毎年7月と収穫前の9月に行われています。いつもは京都と滋賀の水田を回るのですが、今回は初めて福井県の生産者の水田を見学します。約40名がマイクロバス2台に分乗し、京都市内から福井県へ行きました。
福井県に入ると、一般の水田では、すでに稲刈りの終わっているところが沢山ありました。しかし、まだ稲刈りの終わっていない水田では、倒伏している稲が沢山あります。これは、先日、福井県に上陸した台風9号の影響のようです。あまりに沢山の稲が倒伏していましたので、無施肥無農薬栽培の水田はどうだろう?と少し心配になりました。
一般の水田の稲が倒伏している様子1
一般の水田の稲が倒伏している様子2
しかし、現地に着いてみると、そんな心配は全く必要なかったようで、収穫前の稲は、重そうに稲穂を垂れ、しっかりと大地に立っていました。まるで、金色の絨毯を敷き詰めたようです。
まず最初に訪れたのが、無施肥無農薬栽培を2003年4月より続けておられる中村さんの水田です。中村さんは、ご夫婦二人で3.4ha(11筆)の水田を農耕されています。しっかりと除草された水田は、とても綺麗でした。昨年度、当店からお客樣にお送りしたのは、ほとんどがこの中村さんのものです。
同行された近畿大学名誉教授の竹内先生が高温障害も出ておらず、空籾も一つの穂に1粒〜2粒と正常範囲で、よくできていると言っておられました。(一般に暑さよる高温障害が発生すると、実の入っていない空籾が沢山できるそうです。現に今年は、夏の暑さが影響して、一般慣行栽培の水田では、多くの高温障害が出ているようです。)
中村さんの水田にて
中村さんの水田
次に訪れたのが、牧野さんの水田。牧野さんもご夫婦二人で約82aの水田を農耕されています。無施肥無農薬栽培の実施は、2009年4月からの水田と今年(2010年)からのものの二つがあります。牧野さんの水田も、どちらも雑草が少なくとても綺麗でした。ここも高温障害は、出ておらず、竹内先生がよく出ていると言っておられました。
また、竹内先生は、一般の水田は“中干し”をするのですが、無施肥無農薬栽培では、必要ないというお話をされていました。
肥料を施すことにより、根が弱るそうで、そのために水を切って、酸素を補給して、根を元気にしてやる中干しが必要になるとのこと。肥料を施さなけれは、この中干しは、必要にならず、これは肥料屋さんが肥料を売るために考え出したことだそうです。(現に、今回訪れた無施肥無農薬栽培の水田は、すべて水は張りっぱなしで、中干しをしていませんでした。)
牧野さんの水田にて
牧野さんの水田
最後が今立水田で、ここは丸山さんを代表として、ボランティアの方々が、1997年より無施肥無農薬栽培を続けておらます。もう10年以上無施肥無農薬栽培を続けておられ、福井県で無施肥無農薬栽培の草分け的存在です。ボランティアの方々ががんばっておられるようで、ここの水田もしっかりと除草され、とても綺麗でした。
今年は少し葉の先枯れが多く発生していて、少し収穫量に影響あるかもしれないとのことでしたが、牧野さんの水田も高温障害は出ておらず、空籾もほとんどないとのことでした。
今立水田の様子
今回、無施肥無農薬栽培の水田見学会では、福井県の3箇所を回りましたが、一般水田の稲が台風9号による強風の影響で倒伏しているに、なぜ、これらの水田の稲は、倒伏することが無かったのでしょうか?
同行していただいた竹内先生よりご説明がありましたので、それを記載させていただきます。
下の図1のように、稲にはいくつかの節があります。(下手な絵ですいません<(__)>)
図1.稲の節
上から数えて5番目 (一番上の節は穂首節(ほくびせつ)といい、そこは数えません。)と6番目の節間が無施肥無農薬栽培のものでは、約1cmくらいと短いの対して、肥料を施したものですと長くなっています。そのため、強い風が吹くとここに力がかかり、倒れてしまうそうです。
左)一般慣行栽培 右)無施肥無農薬
自然界に存在する植物は、本来、自然の中で生きていけるようになっているはずです。それに人間が手を加えることにより、形を変えてしまい、自然の中では人間の力無しでは、成長できなくなってしまうのでは、ないでしょうか?
一般慣行栽培の稲には、夏の異常な暑さのため、高温障害が出たり、台風による強風のために倒伏する被害が出たりする中、無施肥無農薬栽培のものには、全く影響がありませんでした。今回の水田見学会では、改めて無施肥無農薬栽培の農産物の逞しさを感じることができました。
無施肥無農薬栽培米のご注文 コシヒカリ5kg
|